CO2排出量算出ガイド 排出量のモニタリング・公表支援 SBT取得コンサルタント
目次

CO2排出量を調べる

スコープ3

カテゴリ1(原材料調達)、4・9(輸配送)の計算方法

中小企業にとって重要である、カテゴリー1「購入した製品・サービス」、カテゴリー4「輸送、配送(上流)」、カテゴリー9「輸送、配送(下流)」の計算方法を解説します。

カテゴリー1「購入した製品・サービス」の計算方法

カテゴリー1では、「調達量をもとにした方法」「金額をもとにした方法」の2つの算定方法があり、それぞれ以下のように示されます。

①調達量をもとにした方法

  • CO2排出量
  • 調達量(t)
  • 熱排出原単位 (t-CO2/t)

②金額をもとにした方法

  • CO2排出量
  • 金額(百万円)
  • 熱排出原単位 (t-CO2/t)
カテゴリー1の排出原単位について

カテゴリー1の排出源単位は、環境省「排出原単位データベース」のシート「5産連表DB」に記載されています。
環境省「排出原単位データベース」 Ver.3.2(PDF/574KB) <2022年3月リリース>
物流ベースの排出原単位は、D列「物流ベースの排出原単位」を、金額ベースの排出原単位は、F列「生産者価格ベース」を参照しましょう。

このように、カテゴリー1の計算方法は2通りありますが、調達量をもとにして算定する方法の方がより正確に排出量を算定できます。
例として、石油10tを調達した際の排出量を、①調達量をもとにした方法で求めてみましょう。
(石油の排出原単位は、環境省「排出原単位データベース」D列104行目のセルに記載されています。)
石油10t×0.168t-CO2eq/t=1.68 t-CO2(CO2排出量)
と算出することができます。

カテゴリー4「輸送、配送(上流)」、カテゴリー9「輸送、配送(下流)」の計算方法

カテゴリー4・9の計算方法は同一です。
「燃料法」「燃費法」「トンキロ法」の3つの算定方法があり、それぞれ以下のように示されます。

①燃料法

  • CO2排出量
  • 燃料使用量(㎘)
  • 排出原単位 (t-CO2/㎘)

②燃費法

  • CO2排出量
  • 輸送距離
    (km)
  • 燃費
    (km/ℓ)
  • 1/1,000
    (㎘/ℓ)
  • 排出原単位
    (t-CO2/㎘)

③トンキロ法

トンキロ法では「トラック」と「鉄道、船舶、航空」で計算方法が異なります。

トラックの場合

  • CO2排出量
  • 輸送量
    (t-CO2)
  • トンキロ法燃料
    使用原単位(ℓ/トンキロ)
  • 1/1,000
    (㎘/ℓ)
  • 排出原単位
    (t-CO2/㎘)

鉄道、船舶、航空の場合

  • CO2排出量
  • 輸送量
    (t-CO2)
  • 従来トンキロ法
    排出原単位(g-CO2/トンキロ)
  • 1/1,000,000
    (t-CO2/g-CO2)

※輸送量(トンキロ)の求め方

  • 輸送トンキロ
  • 貨物重量(t)
  • 輸送距離(km)
カテゴリー4・9の排出源単位について

カテゴリー4・9の排出源単位は、環境省「排出原単位データベース」のシート「2輸送」にそれぞれ記載されています。
環境省「排出原単位データベース」 Ver.3.2(PDF/574KB) <2022年3月リリース>
燃料法の排出原単位はシート「2輸送【燃料法】」G列、
燃費法の排出原単位はシート「2輸送【燃費法】」H列、
トンキロ法の排出原単位はシート「2輸送【トンキロ法】」に記載され、「トラックのトンキロ法燃料使用原単位」I~N列に積載量ごとに、鉄道、船舶、航空の「トンキロ法輸送機関別排出原単位」はE,F,G列36~38行目に記載されています。

各計算方法の例

  • ①燃料法

    ガソリン10Lを使用したときのCO2排出量を求めます。まず、ガソリンの排出原単位を表より読み取ります。
    排出原単位は、2.322(t-CO2/㎘)です。

    燃料法:表1.燃料別単位発熱量及び排出係数

    出典:環境省「排出原単位データベース」よりゼロプラス作成(ガソリンの排出原単位は、シート「2輸送【燃料法】」に記載)

    ガソリン10㎘×2.322tCO2/㎘=23.22 t-CO2(CO2排出量)
    と算出することができます。

  • ②燃費法

    走行距離1,000kmを燃費5km/ℓのトラックで軽油を使用し、走行した場合のCO2排出量を求めます。
    まず、軽油の排出原単位を表より読み取ります。
    排出原単位は、2.585(t-CO2/㎘)です。

    燃費法:表1.燃料別単位発熱量及び排出係数

    出典:環境省「排出原単位データベース」よりゼロプラス作成
    (軽油の排出原単位は、シート「2輸送【燃費法】」に記載)

    軽油1,000(km)÷(5km/ℓ)×1/1,000(㎘/ℓ)×2.585 (t-CO2/㎘)=0.517 t-CO2(CO2排出量)
    と算出することができます。

  • ③トンキロ法

    トラックの場合

    最大積載量2t、輸送距離1,000km、積載率100%で軽油を使用するトラックを使用した場合
    まずは、輸送トンキロを求めます。
    輸送トンキロ(トンキロ)=貨物重量(t)×輸送距離(km)
    2t×1,000km=2,000トンキロ


    次に、トンキロ法燃料使用原単位、排出原単位を表より読み取ります。
    トンキロ法燃料使用原単位は、0.0800(ℓ/トンキロ)、
    排出原単位は、2.585(t-CO2/㎘)
    です。

    トンキロ法燃料使用原単位

    トンキロ法燃料使用原単位:表3.積載率最大積載量別輸送トンキロ当たり燃料使用量

    排出原単位

    排出原単位:表3.積載率最大積載量別輸送トンキロ当たり燃料使用量

    出典:環境省「排出原単位データベース」よりゼロプラス作成
    (トンキロ法燃料使用原単位・排出原単位は、シート「2輸送【トンキロ法】」に記載)

    最後に、CO2排出量を求めます。
    2,000トンキロ×1/1,000(㎘/ℓ)×0.800ℓ/トンキロ×2.585t-CO2/㎘=4.136 t-CO2(CO2排出量)と算出することができます。

    鉄道、船舶、航空の場合

    鉄道で運送した場合のCO2排出量を求めてみましょう。
    輸送トンキロは20トンキロとします。

    鉄道、船舶、航空の場合の排出量

    出典:環境省「排出原単位データベース」よりゼロプラス作成
    (鉄道の排出原単位は、シート「2輸送【トンキロ法】」に記載)

    20トンキロ×22gCO2/トンキロ=440 t-CO2(CO2排出量)
    と算出することができます。

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